野良犬通りで会いましょう 第三話 ■「 ああ、俺、天使 」


あ、俺、天使。」



当たり前のように現れた少年は、あまりにも場違いな言葉を発した



その姿は、虚ろな目をした少女の視界に、やけにはっきりと刻まれた。





第3話「俺、天使。」





「・・・・・は?」



「いや、はじゃなくて、俺、天使。」



ああ、これは夢なのだろうか?と少女は思う。

極限まで追い詰められた自分が作った、くだらない妄想なのだろうか?



「っぶぁはははははははは!!!!なんだてめぇ!?」



「ラリってんのか?あぁ!!」



「天使ってあれか、エンジェルさまってとこか!?」



「・・・・そ、エンジェル。」



爆笑する3人の男達。それをやる気のなさそうな目で見た後、思い出したように少女を振り向く。



「ああ、大丈夫か?」



「・・・・・え、あ・・・・・」



なんだろう?やけに現実味がない。あんなに、あんなに望んでいた外の世界なのに。



「おいおいエンジェル様よお!んで何しに来たのかなぁ??」



「んぁー、まあ言ってみればこの子見逃してやってくんね?」



お前らがここでうだうだやってると俺うるさくて寝れねぇし。とぼやく青年。



「ああ?んでこんなヤツ助けてぇんだよ。おめ関係

ねぇだろ?あれか、正義の味方気取りか?」



「・・・まあ、そんなもんかな。」

















           「俺、天使だし。」





















「っざけてんじゃねえぞおらぁ!!!!!!」







         ごがぁ!!!!





すさまじい空気の波動が響き渡る。

男の放った拳の一撃が青年の後ろにある壁を粉砕した。



         パワードスーツ 「どうだ?特注した筋力増幅装置の威力はよお?びびっただろ?」



その光景を見て、一度だけ青年は目を見開くと深い怒りを込めた声で言った。



「・・・・何してんだよ」



「ああ?」



青年の放ったその叫びの一つは、男の拳を凌駕するほどの圧力で響き渡った。













「何勝手に人ん家の壁壊してやがるんだよぉ!!!!!!」